これは夢だ
明晰夢(めいせきむ)という夢があります。夢を見ている最中に、それが夢であることを自覚している、という不思議な夢です。
Lesson 3-3から、夢を見ているときの脳内の様子についての一文を引用してみます。
わたしたちが夢を見ているとき、おかしいことをおかしいと感じることが出来ないのは、前頭葉にある前頭前野背外側部(ぜんとうぜんやはいがいそくぶ)という部位が、レム睡眠時に活動を低下しているからだと考えられています。
このように、わたしたちのほとんどは、夢がどんなに突拍子のないものであっても、それを不思議だと思うことはありませんし、それが夢だと見抜くことは出来ません。しかし、夢を夢だと認識したうえで楽しみ、その上さらに夢の内容のコントロールまでしてしまうという人々が存在します。
ラバージの執念
スティーブン・ラバージは、幼少の頃から明晰夢を楽しんでいましたが、ついには明晰夢の存在を科学的に証明しようと決意し、カリフォルニア、スタンフォード大学で研究を進めました。当初はほとんどの研究者が懐疑的に見ていたラバージの研究でしたが、1981年、明晰夢がレム睡眠中に起こっていることを、ついに実験で証明してしまいました。
明晰夢を見る方法
その後、ラバージ自身や後続の研究者たちによって検証が行なわれ、明晰夢を見るための方法も、いくつか編み出されました。比較的簡単なものを挙げてみます。
時計の針を読む
日中に10回程度、自分の時計を見て文字盤が正確に読めることを確認する。時計の確認が習慣になると、夢のなかでも行なうようになり、時計の様子が日中と違うことで夢だと気づくことが出来る。
明晰夢を具体的に想像する
5分ほど横になり目を閉じて、自分が見たい夢を出来るだけ具体的に想像する。
枕許に鉛筆と紙を用意する
ベッドに入ったら、これから夢を見ること、起きたら夢の内容を書き出すことを自分に言い聞かせる。一度起きたら夢の内容を書き出して、これから同じ夢に戻ることを強く意識して、もう一度眠る。これを繰り返しているうちに、夢のなかにいる自分を客観視できるようになるという。
夢のなかで試すこと
- 鏡を見てみる…夢の場合は、あいまいな影しか映らない。
- 灯りを消す…夢の場合は、明るさは変わらない。
- 時計の文字盤を見る。
- 空中に浮かんでみる。
睡眠の中断
いつもより1時間程度早めに目覚まし時計をセットしておく。起きたら、30分ほど時間を潰して眠り直す。睡眠の中断を行なうことで、明晰夢を見られる確率は20倍になるという。
ある研究結果によれば、明晰夢を見ることが出来るのは、成人のうち約50パーセント程度とのことです。興味のある方は、ぜひ試してみて下さい。もし夢を自由に楽しめるようになれば、眠りに就くのも一層楽しみになるはずです。
Lesson 11-5 まとめ
- 明晰夢…夢を見ている最中に、それが夢であることを自覚している夢。
- 明晰夢はレム睡眠中に起こっている。
- 明晰夢を見られるのは、成人のうち約50パーセント程度。