ストレスで眠れないとき
「早く眠らないと」「明日の会議イヤだな」「何か準備を忘れてないだろうか」…。ベッドに入っても、いろいろな不安や緊張が頭から離れず、なかなか寝つけないときもあります。緊張や不安といったストレス自体は、生きていく上では大切なものですが、眠りたいのに眠れないと、やっぱり困ってしまいます。そんなときは、ストレスを少しでもやわらげ、心や身体をリラックスさせる方法を試してみましょう。
頭を冷やしてみる
不眠症の患者を対象にした近年の研究で、前頭葉を冷やすことが眠りの改善につながることがわかってきました。前頭葉を冷やすと、脳の代謝機能が低下するため、頭が休まり、自然な眠りに移りやすいことが明らかになったのです。これは不眠症患者でなくても、ストレスで眠れないときに有効です。緊張や不安といったストレスは、ネガティブな思考が活発なために引き起こされます。頭を冷やすことで脳の活動を低下させれば、思考も落ち着き、眠りに向かいます。
もっとも簡単なのは、タオルを冷凍庫で冷やしておき、眠る前に額に乗せる方法です。少し手間がかかりますが、保冷剤を使う方法もオススメです。保冷剤は100円ショップなどでも手に入りますし、スイーツなどを買ったときにもらえる保冷剤でも構いません。冷凍庫で冷やしておき、眠るときにハンカチにくるんで額に乗せましょう。冷えすぎていると目が冴えてしまって逆効果です。自分にとって気持ちの良い冷たさを探してみましょう。
ハチの羽音
ヨガには、ブラーマリー(ハチの羽音)という呼吸法があり、緊張をほぐす効果や、ホルモンバランスを整える効果があると言われています。本来は座って行なうものだったようですが、仰向けになった状態でも、充分にリラックスできます。方法はとても簡単です。
まず目を閉じて、両手の親指で両耳の穴を塞ぎ、残りの指で目を覆います。指に力を入れる必要はありません。この状態で鼻から「んー」というハミングするような低い音を出します。低い音が頭の中に響いているのを感じながら、ゆっくりと音を出しましょう。これを1分程度繰り返すと、身体の緊張もほぐれ、気持ちもリラックスできているはずです。腹式呼吸と組み合わせたり、心地良い指の置き方を探してみても良いでしょう。
目の周りを温める
ブラーマリー呼吸法と少し似ていますが、目の周りを温めるのも、眠気を誘うのに効果的です。目の周りを温めると、副交感神経が刺激されるので、全身の緊張がとれ、リラックスすることが出来ます。
もっとも簡単なのは、手のひらを目に当てる方法です。手をこすり合わせて温めてから、瞼の上に乗せて、ゆっくり深呼吸しましょう。これを1分ほど繰り返すと、手足の先がさらに温かくなってきてリラックスできます。とても簡単なので、寝る前だけではなく、仕事中、パソコンを見つづけて疲れたときなどにも応用できます。
温めるとリラックスできるのは、目だけではありません。ストレスが溜まっているときは背骨の周りを温めると効果的です。蒸しタオルを使ったり、熱療法用のホットパックなども販売されています。
音楽の力
音楽にもリラックス効果があります。お気に入りの音楽を聴いて、気持ちをほぐすのも効果的です。また、クラシックには、心をゆったりさせてくれる子守唄や夜想曲(ノクターン)の名曲がたくさんあります。ヒーリング効果に特化した音楽も、様々な種類が発売されているので、試聴してみるのも良いでしょう。
音楽だけでなく、風の音や雨の音などの自然音を寝室に静かに流すと、リラックスすることが出来ます。自然音を集めたCDや、自分好みの環境音(アンビエント・サウンド)を作れるアプリなどがあります。また、YouTubeなどの動画サイトにも様々な自然音・環境音がアップロードされていて、手軽に視聴することが出来ます。熱帯の雨音や、高原の風の音、深夜の都会を走るまばらな車の音などなど…。いろいろと聞いてみると、いままで意識していなかっただけで、自分を眠りに導いてくれる環境音が見つかるかもしれません。
Lesson 9-4 まとめ
- 前頭葉を冷やすと脳の代謝機能が低下するため、思考が落ち着いて自然な眠りに移りやすい。
- ブラーマリー(ハチの羽音)呼吸法…両手の親指で両耳の穴を塞ぎ、残りの指で目を覆って、鼻から「んー」というハミングするような低い音を出す。
- 目の周りを温めると副交感神経が刺激されてリラックスできる。
- 音楽や自然音のリラックス効果を利用する。