Lesson 7-4 「いびき」も無視できない

いびきは軽いうちに対処する

もう一度、「いびき」についておさらいしましょう。

レム睡眠に入ると、筋肉は弛緩し、全身から力が抜けた状態になります。このときに舌が落ち込んで、気道が狭くなってしまうことがあります。気道があまりに狭くなると、呼吸した空気が流れにくくなって、滞りがちになるために、気道の壁面を震わせます。この振動が大きくなって音を立てるまでになったものが、いびきの正体でした。

前回、詳しく学んだ睡眠時無呼吸症候群に比べれば、いびきが深刻な病気につながることは稀です。しかし、いびきにも無視できない側面はあります。また、いびきを軽い段階で抑えておくことは、結果的に睡眠時無呼吸症候群の予防にもなります。

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いびきで離婚?

いびきをかく人の割合は、全人口の40パーセント前後と推測されています。軽いいびきでも、日中の集中力の低下につながる可能性が示唆されていますが、いびきで深刻なのは、健康面よりも、パートナーや家族との関係への影響です。イギリスで行われた調査では、離婚原因の3位が、パートナーのいびきでした。実際に離婚とまではいかなくても、パートナーや家族のいびきに悩まされている方は意外と多いのではないでしょうか。

セルフチェックしてみよう

睡眠時無呼吸症候群と同じように、いびきをかいているかどうか、自分では確かめることが難しいのも、いびきの厄介なところです。

そこで、あなたがいびきをかいているかどうか,簡単なセルフチェックをしてみましょう。

いびきのセルフチェック

  • 日中、眠気を感じる。
  • じゅうぶんに寝ても、寝た気がしない。
  • 起きたとき、喉に不快感を感じる。
  • 起きたとき、口臭がある。
  • 鼻が詰まりがちである。
  • 集中力が減ったと感じることがある。
  • 肌荒れしやすくなった。
  • お酒を飲む。
  • タバコを吸う。

いかがでしたか。該当するチェック項目が多いほど、いびきをかいている可能性は高くなります。

いびきの対策法

いびきの対策法は、いびきの種類によっていくつかあります。

鼻が詰まりがちの方は、眠っているときも口をあけたままでいる可能性があります。起きたとき、喉が乾燥していると感じる場合は、要注意です。口をあけていびきをかいている方は、テープ状のもので顎を下から支える「顎紐」を使うと、自然と鼻呼吸が促され、いびきが少なくなります。

アレルギー体質の方や、花粉症の方は、鼻が詰まっている原因を絶たないと、根本的な解決にはなりません。枕やシーツはもちろん、部屋のなかを清潔に保つことが第一です。また、部屋の温度が低かったり、乾燥していたりすると、風邪を引きやすくなってしまいます。鼻水で鼻が詰まることも、いびきにつながります。

歯の噛み合わせがいびきの原因になっていることもあります。口を閉じたままでいびきの音が出せるか確認してみましょう。もし、いびきの音が出せた場合、噛み合わせが原因のいびきをかいている可能性があります。心配な場合は、歯医者さんでマウスピース(下顎誘導器)を作ってもらいましょう。これをはめると、眠っているあいだ、顎が前方に押し出されるため、気道が確保されて、いびきが減ります。ただし、この方法は軽症の人にしか使えません。

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歌を歌う

いちばん簡単で手軽ないびき対策は、喉の筋肉を鍛えることです。難しく考えることはありません。よく話し、食事の際はよく噛むように心がけましょう。また、毎日20分ずつ歌を歌うと、いびきが減少したという実験結果もあります。毎日は難しいとしても、カラオケで大声で謳うことは、ストレス発散と同時に、いびきの予防にもなるのです。

いずれにしても、心配な場合は、恥ずかしがらずに専門医の診察を受けるようにしましょう。

Lesson 7-4 まとめ

  • いびきを軽い段階で抑えておくことは、睡眠時無呼吸症候群の予防になる。
  • いびきをかく人の割合は全人口の40パーセント前後。
  • いびき対策…喉の筋肉を鍛えること、部屋のなかを清潔に保つこと。