Lesson 2-1 レム睡眠とノンレム睡眠

ふたつの睡眠

睡眠に、レム睡眠とノンレム睡眠というふたつの種類があることは、Lesson 1-3で勉強しました。レム睡眠とノンレム睡眠は、眠っているあいだ、一定の周期で何度か入れ替わります。このふたつの睡眠の仕組みや役割を、詳しく見ていきたいと思います。今回はまずレム睡眠とノンレム睡眠の周期から勉強していきましょう。

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レム=REM(Rapid Eye Movement)

レム睡眠の「レム」は、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の略称「REM」です。その名の通り、睡眠中、眼球が動いている状態をレム睡眠、眼球が動いていない状態をノンレム睡眠と呼んでいます。

レム睡眠を持つのは、哺乳類と鳥類のみだと考えられています。イヌやネコなどのペットを飼ったことがある方は、居眠りをしているとき、彼らの瞼がピクピク動いているところを見たことがあるかもしれません。(ネコはヒゲを動かすこともあります)あのように眼球を動かしている状態が、まさしくレム睡眠です。

ではノンレム睡眠はどのような状態かというと、お行儀よく、姿勢を崩さないでぐっすり寝ているときが、ノンレム睡眠です。一見、姿勢を崩して横になっているときのほうが眠りも深いように思えますが、実はその反対なのです。

睡眠の周期

話をヒトに戻しましょう。繰り返しになりますが、レム睡眠とノンレム睡眠は一定の間隔で入れ替わります。ここでは睡眠の周期を見てみましょう。

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ヒトの睡眠周期を調べるためには、眼球の動きはもちろん、脳波や心電図などを計測する必要があり、睡眠ポリグラフ検査という方法が用いられます。上のグラフは、睡眠ポリグラフ検査によって導き出された、健康的な成人男性の睡眠周期です。睡眠時間は23時から翌朝6時までの約7時間です。

ヒトが眠りに就くと、まず浅いノンレム睡眠が現れます。この状態から徐々に深い睡眠(深睡眠)に移行していき、1時間程度の間、深睡眠が続きます。そしてふたたび徐々に眠りが浅くなっていき、浅いノンレム睡眠からレム睡眠に移行します。眠り始めてからレム睡眠に移行するまで、1時間半程度が経過しています。レム睡眠が50分程度続くと、ふたたび眠りは深く、ノンレム睡眠へと移行していきます。その後は翌朝まで、レム睡眠とノンレム睡眠は交互に訪れ、この波を1セットとして1時間半〜2時間程度の周期で現れます。起床時刻に近づくにしたがってノンレム睡眠が現れる時間が短くなり、徐々にレム睡眠が増えていくのがお分かりになると思います。

睡眠のうち、約75%はノンレム睡眠が占め、残りの25%をレム睡眠が占めています。ノンレム睡眠に入ってからレム睡眠が終わるまでの変化をひとつの周期として、睡眠単位と呼びます。

眠りは90分周期?

ここでもう一度、Lesson 1-3のおさらいになりますが、「睡眠時間を90分の倍数にすると目覚めが良い」という説は、上記のような睡眠単位を基にしています。睡眠単位ひとつが約90分ということになるため、たとえば360分(6時間)、450分(7時間半)といった具合に睡眠をとると、覚醒に近い状態で目覚めることが出来るため、目覚めが良くなる、と考えられているのです。

しかし、当然のことながら睡眠周期にも個人差があります。また、その日の疲れ具合によっても、身体が求める睡眠時間は変わってきます。身体をしっかり休め、翌朝気持ち良く目覚めるために大切なのは、自分の睡眠周期を知り、深いノンレム睡眠の時間を増やすことです。ではそれにはどうすればいいのか…? それは後に見ていくことにして、次回はレム睡眠とノンレム睡眠の特徴やメカニズムを勉強します。

Lesson 2-1 まとめ

  • レム睡眠の「レム(REM)」=急速眼球運動(Rapid Eye Movement)。
  • 睡眠中、眼球が動いている状態がレム睡眠、眼球が動いていない状態がノンレム睡眠。
  • レム睡眠とノンレム睡眠は、1時間半〜2時間程度の周期で交互に現れる。
  • 睡眠単位…ノンレム睡眠に入ってからレム睡眠が終わるまでの周期。約90分。